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打撃、守備、走塁。それら野球のすべてのプレーに関わり、重要な役割を担うのが足の動きであり、シューズの働き。そこには当然、機能やデザインだけでなく、人間の微細な足の動きをも知り尽くす、繊細なフィーリングや高い一体感が要求される。いまから約8年前、当時の野球スパイクの常識を覆す9本歯スパイクを備え、満を持してリニューアルされたミズノプロ。数多くのプロ選手や関係者からその完成度を高く評価されたモデルだが、振り返れば
それでも理想のシューズに至るには、まだまだ改良の余地があったと、シューズ企画を担当する和田竜路は語る。
「9本歯スパイクのミズノプロは、シューズの屈曲性を損なうことなくグリップ力をどこまで高められるか、という発想のもとに生まれました。
しかし、たとえ性能的・データ的に正しい設計であっても、それがイコール人間の感覚にフィットするシューズであると、果たして断言できるのだろうか。
そんな疑問が、あとから少しずつ湧いてきたんです。」
シューズ性能というデータで証明できる部分は、9本歯ミズノプロによってひとつの完成を遂げた。つぎはヒトの感触という目に見えない要素にまで
配慮し、それを研ぎ澄ませることが、理想のシューズ開発への第一歩となる。そのような信念のもと、和田は次期ミズノプロ・シューズの開発テーマを
「最良の履き心地」と設定し、これまでの野球シューズの常識や概念のすべてを頭の中でリセット。真っ白な気持ちで、シューズ設計の本質的な部分を
一から見直そうと考えた。その和田が相談を持ち掛けたのが、シューズづくりの名匠・春名明弘。あのヤンキース・松井秀喜のシューズ製作をプロ入り
当初から手掛け続けるなど、日米のトッププロ選手から厚い信頼が寄せられる、キャリア25年の名クラフトマンだ。
彼ほどのレベルのクラフトマンになると、対応すべきプロ選手の数も多く、抱える仕事の数も当然、半端ではない。同じミズノの人間としてそれを充分に
知りつつも、和田は開口一番、春名にこう告げたという。
「春名さん。申し訳ないんですけど、いま手持ちの仕事を半年間、すべて止めてもらえませんか。」
ミズノプロを超える、NEWミズノプロの開発へ。和田、そして春名率いる井上正司や田中秀彰ら全スタッフの、長く険しい旅路が始まった。 |
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